
瞑想はむずかしい?
瞑想の効果がさまざまなメディアでも取り上げられていますが、実際に瞑想を習慣化して継続するのは簡単ではありません。すぐには効果を感じにくい、瞑想が正しくやれているか自分では分かりにくい、というのも大きな理由ではないでしょうか?
この記事では、瞑想を続けることによってどんな効果が得られるのか、習慣化のコツと考え方を共有します。瞑想を習慣化すると自分が昨日と同じ思考に囚われていることに気づきます。自分の思考パターンを手放してあげることでマインドがクリアになり、自分が本当にやりたいことに気づけたり、自分にとっての重要なタスク・仕事に集中することができるようになります。瞑想はヨガと同じく、誰でもどこでも、今すぐに始められる素晴らしい習慣です。瞑想を生活の一部として取り入れて、セルフマネジメントに活かしましょう!
こんな人におすすめ
- 瞑想が続かない、瞑想が正しくやれているか分からない
- 瞑想の効果が感じられない
- 瞑想の習慣化のコツが知りたい
- 瞑想習慣を通じて自分を変えたい
ヨガにおける瞑想の位置付け
ヨガというと、様々なポーズをとって体を動かすストレッチやエクセサイズを想像する方が多いのではないでしょうか?そしてヨガを実践している方のほとんどの方が、ポーズの練習・呼吸法をメインに行っていると思います。
古典的ヨガの考え方に基づくとヨガのゴールは瞑想を通じて心の動きを静かに収めることと定義しています。(ヨガスートラ1章2節)
肉体的なプラクティス・ポーズの練習は、瞑想を通じて悟りに至るための準備だと位置付けています。(この考えはヨガにおける八支則の考え方がベースになっています)「悟り」というとスピリチュアルな印象を受けるかもしれませんが、わたしは「ヨガは実践を重視した自分の本質に気づくための科学」だと捉えています。ヨガの経典の中では、私たちのヴルッテイ(心・考え)の状態を明確に定義していて、どうやったら苦悩の原因となる心の動きを収めることができるのかが記されています。ヨガスートラによると、この心の動きは、「長い間大いなる真剣さを持って継続的に繰り返し練習すること」で収めるこができると述べられています。(ヨガスートラ1章12節)
つまりアーサナ(ポーズ)や呼吸法のプラクティスに継続的に取り組むことで、瞑想に至るための心と身体の準備が整う、と言い換えることができるでしょう。
瞑想の効果の多くは8週間つづけることによって感じられる。

瞑想の効果を得るには何年も練習を積む必要があるのでしょうか?何年も瞑想を継続しないと効果はでないのでしょうか?
瞑想の効果は、すぐに得られるものと、長期的に変化していくものがあります。瞑想をはじめて数日でその効果を実感することもあるでしょう。ハーバード大学とマサチューセッツ総合病院が実施した新しい研究によると、わずか8週間の瞑想が不安を減少させリラックスするのに役立つだけではなく、記憶力、共感力、自己認知力、ストレスのコントロールなどといった脳の様々な領域に変化をもたらすということがわかっています。多くの科学的な実験が瞑想の有効性については証明していますが、その科学的な根拠は研究が続けられています。
心と体の医学・ウェルビーイング分野における世界的な第一人者 ディーパック・チョプラ (Dr.Deepak Chopra) 医学博士のウェブサイトで、瞑想の効果について簡潔にまとめてありますので、興味のある方はみてください。(英語)Why meditate?
瞑想の効果
- ストレスと不安からの解放(瞑想は闘争・逃走反応の影響を緩和し、コルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンを減少させる)
- 血圧と高血圧の低下
- コレステロール値の低下
- 体内の効率的な酸素の活用
- アンチエイジングホルモンDHEAの増加
- 安らかな睡眠
ストレスホルモンの減少=アンチエイジングにも効果あり。
米カリフォルニア大学デービス校の研究論文では、細胞の老化抑制に関係した酵素であるテロメラーゼの活動が瞑想をした後で活発になることを発表しています。これは瞑想によって細胞老化の進行を遅らせられることを示唆するのもので、瞑想によるアンチエイジングの効果が科学的に証明されています。
参考文献:Intensive meditation training, immune cell telomerase activity, and psychological mediators.
サプリメントや、化粧品、エステにはお金がかかりますが、瞑想は無料で誰でもどこでも行えるアンチエイジングです。そして、その有効性も科学的に証明されているとしたら、あなたのアンチエイジングに対する行動も変わるのではないでしょうか?
私たちが1日に思考するのは12,000-6,0000回。そのうち80%がネガティブな思考で、95%が昨日と同じ思考の繰り返し。

瞑想中は雑念を消して、頭を真っ白にしないといけないの?
心理学の研究によると「私たちの1日の思考回数が12,000-60,000回、そしてそのうちほとんどがネガティブな思考で、同じ思考を繰り返している」ということがわかっています。
あなたはこのデータをみてどう思いますか?あなたは1日に10分でも、何も思考しない時間がありますか?仕事や家事、勉強に追われて、空き時間にはテレビやスマホを見て過ごしている人が多いのではないでしょうか?もし、1日に60,000回も思考しているとすれば、単純に計算しても1分間に40回以上思考している計算になります。瞑想をしていく中で、何度も雑念が頭をよぎったり思考にとらわれたりするのは当然のことかもしれません。
それでは、瞑想中にこれらの思考を消して頭を真っ白にしなければならないのでしょうか? 瞑想で、私たちが行うのは思考を止めることではありません。なぜなら、思考を消したりコントロールしたりすることはできないからです。
「瞑想で行うのは、自分が思考しているということに気づくこと、そしてその思考と思考の間にスペースを見つけること」このようにDeepak Chopra氏は述べています。
「思考をしている自分」に気づいたら呼吸に意識を戻す。これを繰り返すだけです。どうしても、集中できないという人はぜひ以下の方法を試してみてください。
集中できない時の工夫
- 呼吸をカウントする。(ゆっくりと呼吸しながら、10までカウントしてみてください。途中で意識が離れてカウントを忘れてしまったら、また1からカウントしなおします)
- 思考をラベリングする。(例えば、今日の夕ご飯のことを考えていたら「食事」、職場での心配事だったら「仕事」といった風に次から次へと浮かんでくる思考をカテゴリーごとにラベリングします。そしてラベルを貼った思考は、判断したり消そうとしたりせずに、そのまま手放して上げるイメージをもちましょう。)
私が一番驚いたのは、1日の思考のうち95%が昨日と同じ思考を繰り返しているということです。これらの思考に気づき、手放してあげる作業をしなくては一生同じ思考パターンに囚われてしまうのでは?そんなふうに感じました。自分の思考パターンに気づき、ネガティブな思考も手放すことができれば私たちの抱える様々な悩みに対しても新たなアプローチができるのではないでしょうか。
瞑想は、思考を止めたり、頭を真っ白にすることが”成功”ではありません。瞑想中にずっと思考から離れられなかったとしても、”自分が思考しているという”気づきを得るプロセスこそが大切なのです。
瞑想を習慣化するためには、数値化すること。

「時間が気になってじっとしていられない」「雑念にとらわれて集中できない」「うまくいっているのかよく分からない」「瞑想がむずかしくて続かない」どうすれば継続できるのか?
瞑想を行うプロセスはとてもシンプルです。呼吸に集中して、雑念が現れてきたら、再び呼吸に意識を戻す。この繰り返しです。
瞑想が難しい、と思われてしまう理由としてディーパック・チョプラ (Dr.Deepak Chopra)博士は次のように述べています。
「無理やり集中しようとしてしまうこと。結果に過剰に囚われすぎてしまうこと、うまく出来ていないのではないかと考えてしまうこと。」そして、これまでのChopra Centerの経験から「資格をもった講師に習うことが瞑想のプロセスを楽しみ、学ぶための一番よい方法である」と述べています。
ディーパック・チョプラ (Dr.Deepak Chopra)博士
難しいところがあるとすると、瞑想を毎日の習慣として続けていくことです。(ハーバード大学、マサチュセッツ大学病院の研究によると、瞑想を8週間継続することで私たちの脳に具体的な変化が見られることがわかっています。)
では、どうやって瞑想を習慣化していけばよいのでしょうか?
瞑想を継続するコツは、数値化・見える化することです。
瞑想がつづかない大きな理由は、プロセス・成果が目に見えにくいことです。
ダイエットなどでは、体重の変化や、摂取カロリーなどを日々トラッキングすることで、継続のモチベーションを維持できます。
瞑想は成果や効果を数値化することが難しいですが、そのプロセスを数値化することは可能です。
数値化の具体例
- 瞑想継続日数
- 瞑想回数
- 瞑想実施時間
- 同時刻に瞑想を行なっていた世界中の人たちの人数
- ジャーナリング(瞑想後の記録)
上記のような数値は、瞑想を継続していくための指標として有効です。おすすめは、瞑想時間を記録するのと同時に、瞑想用の音声も聞けるアプリを利用することです。上記の数値化をすべて一つのアプリで行えて、そしてほとんどのアプリは無料です。(注:アプリで瞑想のガイドを付けたい場合は、有料のケースが多いです。)
なお、You Tubeなどの動画で世界的に有名な瞑想講師のガイドを聞くこともできます。オンライン・ツールを利用して、瞑想の習慣化・継続プロセスを楽しみましょう。
慣れないうちは瞑想アプリなどのガイドを使うのがおすすめです。
私が使ってみてよかったアプリをお伝えします。(英語のみ)
- Headspace:ガイドのクオリティが高いです。英語リスニングの勉強にもなります。(ガイドは有料になります)
- Calm: 全世界で5000万人が愛用するNo.1瞑想アプリ(音楽のクオリティが高い)私は無料版をダウンロードして、音声のみ使っています。
- Insight Timer: 瞑想のトータル時間、継続日数などをトラッキングできてモチベーションを維持しやすいです。私は無料版で音声のみ使っています。インストラクターとコースの選択肢も豊富です。瞑想習慣化が難しい方におすすめです。
- Streaks: 習慣化のためのアプリ。継続できた回数をカウントします。有料ですが、広告などが煩わしいと感じる方にはおすすめです。とても使いやすく、習慣を24つまで登録できます。(i Phoneヘルスケアアプリと連携可能!)
なぜ世界のエグゼクティブは忙しくても瞑想するのでしょうか?毎日の仕事、家事が忙しくて瞑想する時間がとれません。
瞑想する時間がないのではなく、自分の中の優先度が低いことが原因
アップルの創業者スティーブ・ジョブズをはじめ、世界の名だたる CEOたちの中には、25年間1日も休まずに瞑想を続けているエグゼクティブもいるそうです。
超多忙を極める彼らが瞑想を継続できるのはなぜでしょうか?それは、彼らが瞑想に高い優先度をつけているからです。
現代の私たちの生活は、優先度の高い仕事、家事、受験勉強、子育てなど1日24時間あっても終わりがないほど様々なタスクに追われています。その優先度は人によって異なると思いますが、瞑想が優先度No1という人は多くないでしょう。
そして、仮に瞑想を毎日すると決めたとしても、今日はもう疲れたから、眠いからという理由でやめてしまうこともあるでしょう。瞑想=「やらなくてはならないこと」ではなく無意識のうちに行う毎日の習慣として自分の生活に組み込んでいく必要があります。私たちが、瞑想の優先度を高く設定するならば、毎日15分の瞑想をするために早起きすることは難しいことではありません。そして、忙しい1日の始まる前、早朝に瞑想の時間が作れるならば挫折しにくいのではないでしょうか。
逆説的ですが、日常的に瞑想を行っていると瞑想をする前よりも時間の余裕があるように感じるそうです。実際には瞑想に時間を使っているため、他のことに使える時間が少なくなっているにもかかわらず、です。
必要なのは「本当に自分が取り組む必要のあるタスク」を選定して優先順位を付けられるかどうか。
あなたのToDoリストには、たくさんのやることリストが溢れています。
私たちの限られた人生、時間の中で、自分にとって本当に取り組むべきタスクとその必要性の高さを見極めて、優先順位をつけられるかどうか、そして自分がやることとやらないことを明確にすることで、質の高い時間を作り出せるのです。
スティーブ・ジョブズが2005年に米スタンフォード大学の卒業式で行った有名な演説があります。
「もし今日が人生最後の日だったら、私は今日しようとしていることをしたいと思うだろうか?」と、そして、答えがNOの日が、何日も続くようなら、何かを変える必要があります。
Steve Jobs
私は瞑想をすることは、究極にクリエイティブな作業だと感じています。自分の中におりていき、自分が本当に望むものを徹底的に観察し、気づく作業。そして、会社や上司、世間の常識など、誰か他の人がつくった価値や、基準、評価などにふりまわされることなく、自分のなかから真実を見つけ出す作業です。
まとめ
- 瞑想の効果の多くは8週間つづけることによって感じられる。
- ストレスホルモンの減少=アンチエイジングにも効果あり。
- 私たちが1日に思考するのは12,000-6,0000回。そのうち80%がネガティブな思考・95%が昨日と同じ思考の繰り返し。
- 思考を消したりコントロールしたりするのは難しい。私たちが瞑想で行うのはそれらの思考に気づくこと。
- 瞑想は難しくない。瞑想を習慣化するためには、数値化すること。(瞑想アプリがおすすめ)
- 瞑想する時間がないのではなく、自分の中の優先度が低いことが原因
- 必要なのは、「本当に自分が取り組む必要のあるタスク」を選定して優先順位を付けられるかどうか。
Yogiの一言
私にとって、一番大きな変化は片道1時間かかる毎日の通勤が辛くなくなったことです。瞑想をはじめる前は、通勤時間=無駄な時間、非効率的なストレスフルな時間である、と思っていました。駅まで歩くのが面倒でスクーターを使っていたのですが、今ではほとんど使っていません。瞑想をはじめて数週間後、通勤時間をいかに楽しい時間にするかを考え、工夫するという行動を起こしました。いままでの私は「つらい通勤=会社に行きたくない」という思考にとらわれていたのですが、今では通勤時間が楽しみであり、歩行瞑想と読書をするためのとても大切なインプット時間として活用しています。
私のプロフィールページにその他にもたくさんの体験を書きましたので興味のある方はみてください。

人によって感じられる効果は異なると思いますが、「わずか数週間の瞑想で心と身体に変化が感じられる」ことをご自身で体験してみてください。